« JUGEMへの要望 | トップページ | JUGEM NEW TOPICS ありがとう »

2004/04/05

習熟度別授業について(3)

 習熟度別授業について(1)(2)の記事から、日があいてしまいましたが、(3)をアップします。
 習熟度別授業は、最近では、小・中学校での試みも多く、また、少人数制にしたり、複数の教師がついたり、クラス編成を自己申告によったりと工夫もこらされているようです。少人数のクラス編成で、複数の教師によるチ−ム・ティ−チングというのは、習熟度別でなくとも、以前から望ましい方法と考えられてきました。本来あるべき集団学習の形が整えられつつあると言えるかもしれません。こうした方法は、習熟度別授業の弊害を緩和すると思います。教育とは、子供たちを育てることですから、一人ひとりにできるだけ多くの大人の目が注がれることが望まれます。

「習熟度別授業について(1)」の Index
 はじめに
 1. 習熟度別授業の導入理由・経過
 2. 習熟度別授業の成果

「習熟度別授業について(2)」の Index
 3. 効果的な習熟度別授業を成り立たせる条件
 4.教育研修会の教師の発言からわかること
  4-1. 教育の負担・責任

「習熟度別授業について(3)」の Index
  4-2. コミュニケーション能力
 5. 教育に求めるもの、本当に教育すべきこと



4-2. コミュニケーション能力
 一方、
「子ども同士の学び合いや学級集団としての成長を分断している」
習熟度別授業に批判集中 日教組教研修会閉幕(共同通信)より/YAHOO!NEWS
という発言については、どうでしょうか。習熟度別授業にも、良い点と悪い点があるかもしれないが、良い点をいかそうじゃないか。学び合いができない・学級集団としての成長が分断されるのは、100%習熟度別授業のせいか、他で解決は図れないのか。そういう主張、反論があるかもしれません。

 この主張にも、もっともな面はあると思います。ですが、長期的な子供の成長・将来を考えた場合には、「学び合い・学級集団としての成長」は、更に、熟考する必要がある重要な問題です。と思います。いわゆる成績のよい子と、そうでない子が意志疎通を図れず、うまく付き合っていけないとしたら、将来子供たちはどんな大人になり、どんな日本の社会を築くことになるでしょう。
 様々な人間が、学校では都合よく分離できたとしても、社会では、交じり合って、共に助け合い、競い合って暮らしていかなければならないのです。社会は国際化、複雑化さえしています。言語の異なる外国人とも、異文化の人たちともやっていかなければならないのに、成績の違いというわずかな違いでも、折り合いをつけてやっていくことや、コミュニケーションが図れないとしたら・・・。
 世の中の問題や、犯罪の性質が以前とは大きく変わってきたことは、多くの人が感じていることだと思います。親子間ですら、コミュニケーションが図れず、暴力や殺人が起きている。
 これは、人生や命にかかわる、本当は、学習や進学以上に深刻な問題です。本当は、習熟度別授業の利点をいかすために、後回しにしてもよい問題ではないはずです。本当は、学習面以上に、最優先で、教育界のみならず社会全体が対策を講ずべき深刻な問題ではないでしょうか。
 
 現代の子供・若者たちは、本来、人間関係の中での経験によって身に付けるべきことを、身につける機会をかなり失っているように感じます。他者との意志疎通の経験が少ないことは、社会における満足感・充足感・安定感を奪います。
 現代は、若者たちにとって、自己を肯定した自信を持ち、豊かな感受性、想像力、人間関係を把握する感覚、包容力などを持つことが困難な時代と言えるのではないでしょうか。
 何よりも、子供たち、若者たちが孤独だということが、一番心配です。子供たちがコミュニケ−ション能力を身につけることは、かなり重要だと思いますが、それは単純に、国語や英語の勉強をするというだけでは、十分とは言えません。

5. 教育に求めるもの、本当に教育すべきこと
 ここで、一個人の考えで、この問題についての結論をまとめることはとても無理なことだと思います。ただ、最後に申しそえたいのは、習熟度別授業が、本当に皆さんが求めているもの、求めるべきものなのかどうか、ということです。
 高学歴が安定した一生を保証するという話は、もう崩れているという警告があります。
この「ごきげん」の以前の記事で取り上げた「13歳のハローワーク」という本においても、著者の村上龍氏が同様の指摘をしていらっしゃいました。(参考:ダ・ヴィンチ、INTERVIEW LONG version《表紙から今月の記事に入って、バックナンバーで選択すると表示されます。》)
 保護者や生徒の皆さんは、そうした現状を認識した上で、人格や個性の一要素である能力の開発をめざして、習熟度別授業を求めていらっしゃるのでしょうか。
 最善を尽くす道を他に見つけられないので、以前からの方法を踏襲しているという方も少なくないのではないでしょうか。それも、一つの選択であるとは思うのですが、社会不安が増大する現代を生きていく若者たちへの教育を考える時、もっと議論して発想の転換を図る必要もあるように思います。
 少なくとも、習熟度別授業の目的が、学校の評判=進学率アップという成果を目先の利益として、手のかかる生徒の排除を意図するものであってはならないことだけは、確かです。(実際、その論理も、学校の評判が上がる進学率のアップとは、○○大学に何人入ったと言われる、その大学への進学者の数を増加させることで、成果を上げたといえる生徒は、一校で数%から1割程度という結果にすぎないのが現状です。)


 以上、拙い文章ですが、「習熟度別授業について」考えてきたことをまとめさせていただきました。
 なお、私は、この文章を子供たち・若者の未来のために、また、子供たちの教育に関心がある方々のために、誠意をもって書きました。この程度の情報でも、情報を得ていなかった方々に、参考にしていただければ幸いです。読んで下さった方々が、更にいろいろと考えて下さることを歓迎します。よろしければ、ご感想をコメント欄等にお願いします。

*追記)04.07.11  記事「習熟度別授業」INDEX
習熟度別授業(1)
 はじめに
 1. 習熟度別授業の導入理由・経過
 2. 習熟度別授業の成果

習熟度別授業(2)
 3. 効果的な習熟度別授業を成り立たせる条件
 4.教育研修会の教師の発言からわかること
  4-1. 教育の負担・責任

習熟度別授業(3)
  4-2. コミュニケーション能力
 5. 教育に求めるもの、本当に教育すべきこと

関連記事   「13歳のハローワーク」について

*追記)05.05.12  各記事(エントリー)へのリンクが移転前のブログ(JUGEM)内のものだったのを、新ブログ(ココログ)内のものに改めました。

|

« JUGEMへの要望 | トップページ | JUGEM NEW TOPICS ありがとう »

コメント

旧・サイトとの方にコメントを頂きましたので、こちらに、コピーを記載させて頂きます。

>とても共感できるご意見でした。ありがとうございます。
| ハンドルネーム? | 2005/01/28 11:00 AM |


>ハンドルネ−ム?様
コメントをありがとうございます。
拙い文章なのに、コメントを頂けてうれしいです。
とても、励みになります。(/ ^^)/

なお、このサイトは移転しますので、コメントを移転先に大事にコピーさせて頂きます。
(移転先は、http://will.cocolog-nifty.com/gokigen/2004/04/3.htmlです。)
| nekomaru | 2005/01/30 11:53 PM |

投稿: nekomaru | 2005/01/31 00:01

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 習熟度別授業について(3):

« JUGEMへの要望 | トップページ | JUGEM NEW TOPICS ありがとう »